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愛犬を知ることで、写真は変わる。

〜テツさんが写す、クルミちゃんとの日常〜

使用カメラ:Nikon Z8
使用レンズ:NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena

テツさんが、日々カメラを向けるのは、
愛犬のクルミちゃん。

いつもの公園を散歩したり、
奥様と一緒に過ごしたり。

そんな毎日の中で出会う瞬間を、写真に残しているテツさん。

以前、インタビューをさせていただいた際に、印象に残った言葉があります。

「撮らせてもらっている」

撮りたい写真のために無理をさせるのではなく、
クルミちゃんの気持ちを何よりも大切にする。

テツさんが写真を撮るうえで大切にしていることについては、
以前のインタビューで詳しくお話を伺っています。
🔗【前回の記事はこちら】


今回、テツさんが登壇するトークショー。
2026年9月22日、ニコンプラザ大阪で開催された
「愛犬との今を残す写真の撮り方 ~人と犬の物語を紡ぐ撮影術~」

そこで語られたのは、クルミちゃんとの向き合い方から、光の捉え方、撮影の工夫まで。

トークショーでのお話をもとに、テツさんの写真の秘密にさらに迫ります。

犬を知ること

「最初から撮れたわけではありません」
トークショーの冒頭で語られたテツさんの言葉。

クルミちゃんを撮り始めた当時、
テツさんは犬の生態について、まだ十分に知らなかったといいます。

犬の気持ちを考えることよりも、気にしていたのはカメラの設定。

そしていつしか、「写真を撮ること」そのものが目的になっていたそう。

その結果、クルミちゃんに負担をかけてしまい、
奥様から約半年間、撮影をさせてもらえない時期もありました。

そこでテツさんが改めて向き合ったのは、
カメラではなく、クルミちゃんのこと。

犬の生態を学び、ボディランゲージから犬の気持ちを読み取る。

そして、クルミちゃん自身をよく観察するように。

今では、尻尾が下がっているときには撮影をしない。

撮りたい気持ちよりも、そのときのクルミちゃんの気持ちを優先する。

「犬を理解しようとしたことが、私の写真を変えました。」

クルミちゃんを知ること。
それが、今のテツさんの写真につながる始まりでした。

使用カメラ:Nikon Z8
使用レンズ:NIKKOR Z 85mm ƒ/1.2 S

「次の行動」を予測する

トークショーの中で何度も耳にしたのが、
「行動を予測する」という言葉でした。

毎日、一緒に過ごしているからこそわかること。

「次はこう動くだろう」と、クルミちゃんの行動を予測する。

そして、その先に生まれる一枚を、あらかじめイメージしておく。

それは、毎日クルミちゃんを見ているテツさんだからこそ、
できる撮り方なのだと感じました。

使用カメラ:Nikon zf
使用レンズ:NIKKOR Z 40mm ƒ/2

「犬を動かすのではなく、自分が光を探す」

そして、もうひとつ印象に残ったのが、
「犬を動かすのではなく、自分が光を探す」
という言葉でした。

撮りたい写真に合わせてクルミちゃんを動かすのではなく、
光を探し、立つ場所を変えるのはテツさん自身。

その考え方がよく表れていたのが、トークショーで紹介された一枚です。

使用カメラ:Nikon Z8
使用レンズ:NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena

写真には、クルミちゃんと奥様の手、その背景に浮かぶ美しい光と玉ボケ。

本当は、この玉ボケをもう少し下の位置に入れたかったそう。

けれど、そのためにクルミちゃんを動かすことはしない。

そこで、光が上から入るようにカメラを下向きにし、アングルを変えて撮影したそうです。

「ここは妥協しました」

撮りたい一枚があっても、無理にそこへ近づけようとはしない。

その潔さに、テツさんらしさを感じました。

写真からは見えない、撮影の裏側。

理想の構図にすることよりも、
クルミちゃんをひとつの存在として尊重する。

以前のインタビューで聞いた「撮らせてもらっている」というテツさんの言葉が、
今回の一枚にもつながっているように感じました。

近くの公園で、四季を楽しむ

テツさんが普段クルミちゃんを撮影しているのは、
特別な場所ばかりではありません。

身近にある、いつもの公園。
春、夏、秋、冬。

同じ場所でも季節が変われば、光も景色も変わる。

テツさんが好きなのは、柔らかな光が差し込む夕方の時間。

いつもの公園でも、逆光や木漏れ日など、
その日、その季節だからこそ出会える光があります。

使用カメラ:Nikon Z8
使用レンズ:NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena

写真全体に広がる、柔らかな光といくつもの玉ボケ。

あまりにも綺麗で、最初に写真を見たとき、
「もしかして、合成?」と思ってしまったほど。

けれど、その玉ボケの正体は、いつもの公園に生えている草でした。

濡れた草に光が当たり、レンズを開放にして撮ることで、きらめく光が美しい玉ボケに。

そして、この写真は、クルミちゃんの目線に合わせたローアングルから撮影されています。

手前の草を前ボケとして取り入れることで、写真に奥行きをつくる。

「犬を撮るのではなく、犬の目線で世界を見る」

いつもの公園も、クルミちゃんと同じ高さに目線を合わせると、
私たちが普段見ている景色とは、違って見える。

普段なら、きっと気にも留めずに通り過ぎてしまう景色。

でも、クルミちゃんと同じ目線に立つことで、今まで気づかなかった光が見えてくる。

光を味方にする、NIKKORレンズ

美しい玉ボケに続いて、もうひとつ印象に残ったのが、
逆光を活かした写真でした。

テツさんの写真には、逆光を取り入れた作品が多くあります。

使用カメラ:Nikon Z8
使用レンズ:NIKKOR Z 85mm ƒ/1.2 S

逆光というと、フレアやゴーストが気になる場面もあります。

そんな逆光での撮影でも、
ニコン機はフレアやゴーストが出にくいところが魅力だと、テツさんは話していました。

光を避けるのではなく、
その光を味方につけて、写真の中へ取り入れる。

そして、もうひとつ印象に残ったのが、
クルミちゃんの柔らかな毛並みの表現です。

使用カメラ:Nikon Z8
使用レンズ:NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena

撮影後のレタッチでは、シャドウを少し持ち上げるだけで、
クルミちゃんの毛並みが、ふわっと柔らかな印象に仕上がるそうです。

大きく手を加えてつくり込むのではなく、
撮影した写真の光や毛並みを活かしながら、一枚の作品に仕上げていく。

テツさんのお話を聞いているうちに、
私もNikonのカメラを使ってみたくなりました。

いつもの部屋を、作品に

身近な公園で四季を楽しむ一方、
暑さの厳しい夏は、自宅で撮影することが多いというテツさん。

無理に外へ連れ出すのではなく、

家の中にある光や身近なものを活かして、写真を楽しむ。

窓から差し込む自然光は、
レースカーテンを使って光の入り方を調整することも。

また、家にあるものから撮影のアイデアが生まれることもあります。

そのアイデアを広角レンズで形にしたのが、こちらの一枚。

使用カメラ:Nikon Z5II
使用レンズ: NIKKOR Z 20mm f/1.8 S

白い布に包まれたクルミちゃん。

実はこの白い布、奥様のワンピース。

ある日、奥様のワンピースの下にクルミちゃんが入り込んでいる姿を見たテツさん。

その何気ない日常の一瞬を、ワンピースを借りて再現したそう。

クルミちゃんだけを大きく切り取るのではなく、
広角レンズでワンピースの広がりまで写し込み、そこに余白をつくる。

偶然目にした日常の一コマが、ひとつの作品に。

使用カメラ:Nikon Z6III
使用レンズ: NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

使っているのは、イルミネーションの光。

レンズを開放にして撮ることで、
その光がクルミちゃんの周りにいくつもの玉ボケとして広がります。

「特別な場所じゃなくても、デザインを意識すると家でも作品になります。」

いつもの部屋も、そこにあるものも。

光の入り方を見たり、余白をつくったり、
身近なものを少し工夫して取り入れたり。

奥様とクルミちゃんの何気ない日常の一コマが、写真のアイデアに。

作品になる瞬間は、すぐそばに

使用カメラ:Nikon Z8
使用レンズ:AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED

いい写真を撮りたいと思うと、もっときれいな場所へ行きたくなる。

もっと特別な景色を探したくなる。

そして、撮りたい一枚のために、被写体にも「こうしてほしい」と求めてしまう。

けれど、今回テツさんのお話を聞いて、改めて気づかされたことがありました。

写真を撮るために、目の前にいる存在や景色を変える必要はない。

いつもの公園。
夕方に差し込む光。
そして、毎日を過ごす家の中。

以前のインタビューで、テツさんが話してくれた言葉があります。

「絶景は、こんなに近くにあったんだ」

今回のお話を聞いて、
この言葉を改めて思い出しました。

いつもの公園にも、
毎日を過ごす家の中にも、
きっと、あなたにとっての「絶景」がある。

テツさんの写真を見ながら、思う。
私も、自分にとっての「絶景」を探してみたい。

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この記事を書いた人
Kaori Mitani
iedemo graphy Founder

高校卒業後、独学でグラフィックデザインを学び、デザイン制作を中心とした個人事業としてゼロから起業。その傍ら、8歳の頃から親しんできた写真の世界に改めて魅了され、本格的に向き合うようになる。現在は「想いを写す」フィルム写真家として活動中。

写真・カメラにまつわる取材・インタビュー、記事制作のご依頼も承っています。