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日常こそが、最大の「絶景」だった。

〜SNS映えよりもワンちゃんの命を大切に。私がテツさんの写真に出会って気づいたこと。〜

※安全のため、撮影時は常にリードを着用し、編集でリードを消しています。

クルミちゃんの安心しきった、 いきいきした表情。

テツさんの写真から、愛犬を想う気持ちがひしひしと伝わってくる。

「なぜ、こんな表情が撮れるんだろう」

あの愛おしい瞬間が生まれる裏側を知りたくて、テツさんにお話を伺いました。

「遠くの絶景」から「目の前の命」へ

かつては風景写真家として、まだ見ぬ絶景を求めて遠くへ足を運んでいたテツさん。

刻一刻と変わる光を待ち、自然が作り出す絶景を切り取る。

それが彼の原点でした。

そんな彼がレンズを向ける先を大きく変えたのは、ある日のふとした光景がきっかけ。

ふと目にした、奥様とクルミちゃんがお散歩する姿。
逆光に照らされた二人の横顔、 ゆったりと流れる時間。

そのとき、テツさんの心にひとつの想いが芽生えました。

「あぁ、絶景はこんなに近くにあったんだ」

それは、地球が生み出す壮大な景色にも負けない、愛おしい存在でした。

そこからテツさんは、クルミちゃんとの何気ない日常を、大切に写真へ残し始めました。

私たちの心を動かす作品は、 そんな日々の積み重ねから生まれていたのです。

「撮らせてもらっている」という敬意

テツさんが大切にしているのは、

“撮ること”より先に、愛犬をひとつの存在として尊重することでした。

風景写真とは違い、心がある相手を撮るということ。
「おすわり、お手、タッチ」

撮影の始まりは、まるでいつもの遊びの延長のよう。 一つひとつのコミュニケーションを大切にしながら、ご褒美のおやつを交え、自然な表情を引き出していきます。

それは“しつけ”というより、テツさんとクルミちゃんの信頼関係から生まれた、日々のコミュニケーションの一部。

クルミちゃんとの信頼関係を少しずつ重ねながら、「撮影は楽しいもの」という安心感を育てていきます。

そして、テツさんが自分に課しているのが「チャレンジは3回まで」という潔いルールです。

“撮りたい絵“のためにクルミちゃんを疲れさせては、それはもうテツさんの求める「絶景」ではないから。

その潔い引き際こそが、クルミちゃんの心を追い詰めない、

彼なりの誠実さでした。

夫婦で守り抜く「クルミちゃんの安全」

この穏やかな時間は、テツさんお一人ではなく、
奥様との強い連携によって守られています。

風景撮影にはなかった「命を預かる責任」という重み。

撮影中、リードをしっかりと握っているのは奥様。

夫婦間でも、クルミちゃんの命を守るための独自のルールを決めています。


リードをつけていても、クルミちゃんのそばから離れない。

二人のうち、どちらか一人でも「危ない」「不安だ」と感じたら、
たとえシャッターチャンスであっても即座に撮影を中断する。

そんな安心感の積み重ねが、 あの自然な表情につながっていました。

魔法の仕上げ!
リードを消して、自由な姿を永遠に

ここで、私が最も心を打たれたテツさんの作品の「秘密」に触れたいと思います。

テツさんの作品に写るクルミちゃんは、
まるで自然の中を自由に駆け回っているかのように見えます。
けれど実際には、そこには常に奥様が握る「リード」が存在しています。

「屋外でリードを外すことは、命に関わるリスクがある。だから撮影中、絶対に手は離しません」

本当はノーリードで駆け回る姿を撮りたい。


けれど、自由の代償に命を危険にさらすことは絶対にしない。

その代わり、テツさんは撮影後の編集で、周囲の風景と馴染ませながら、毛の一本一本まで描き直すようにリードを消していきます。

それは単なる修正作業ではありません。

「命を守るためのリード」「自由な姿を写したいという願い」

そこには、愛犬への配慮と想いが、静かに込められていました。

写真に写っていないリードは、実は奥様がしっかりと握っていた絆の証。

完成した作品に残るのは、 クルミちゃんが安心してカメラを見つめる「自由な表情」だけです。

私たちが目にするテツさんの写す「絶景」は、撮影から仕上げまで、 どこまでも溢れる愛によって作られたものだったのです。

Before

After

インタビューを終えて、
改めてテツさんの作品を見つめ直してみる。

そこに写るクルミちゃんの安心しきった表情は、
テツさんと奥様の徹底した配慮と、命への深い愛が生み出したものでした。

写真から消された一本のリード。
それは、作品上では見えなくなっているけれど、確かにそこに“あるもの“です。

力強くリードを握る奥様の手。

「何があっても絶対に守り抜く」という、家族の決意。

消されたリードの跡は、目には見えないけれど、
決して切れることのない「絆」が写っていました。

「映え」という言葉だけでは決して到達できない、命への敬意。

テツさんの写真は、
私たちに大切なことを教えてくれます。

本当の「絶景」とは、
テクニックだけで生まれるものではない。

大切な存在を想う気持ちの先に、 そっと現れるものだと。

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この記事を書いた人
Kaori Mitani
iedemo graphy Founder

高校卒業後、独学でグラフィックデザインを学び、デザイン制作を中心とした個人事業としてゼロから起業。その傍ら、8歳の頃から親しんできた写真の世界に改めて魅了され、本格的に向き合うようになる。現在は「想いを写す」フィルム写真家として活動中。