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その人だけの物語を写したい。aitoくんが写真に込める想い

今でも鮮明に覚えている。
初めて、あいとくんの作品を見た日のことを。
雪の中で撮られた一枚。

一面の雪景色の中を、笑顔いっぱいのモデルさんと雪だるまが歩いている。
まるで一緒に行進しているような、不思議と心が温かくなる写真。

見た瞬間、思わず笑みがこぼれる。 写真の向こうから楽しさが伝わってきたからだ。

あれから何年か経ち、改めて彼の作品を見ると、ある変化に気づく。

私があいとくんと出会った頃の写真と、今の作品はどこか違う。
以前よりも、その人自身の想いに寄り添うようになっていた。

その変化はどこから生まれたのだろう。
そして、なぜ彼の写真はこんなにも人の感情を映し出すのだろう。

その理由を知りたくて、aitoくんに話を聞くことにした。

景色ではなく、「その人」を撮りたい

aitoくんが写真を始めたきっかけは、とあるフォトグラファーへの憧れだった。

最初から目指していたのは、日常を記録自分の世界観や想いを表現することに魅力を感じていたという。

けれど話を聞いていて意外だったのは、彼の関心が写真そのものではなく、その人に向いていることだ。

撮影前には、たくさん話をする。

好きな音楽。
大切にしていること。
忘れられない思い出。
どんな人生を歩いてきたのか…

その人自身を知る時間を何よりも大切にしている。

「桜が撮りたいからモデルさんを探す、という感覚ではないんです」

そう話す彼が撮りたいのは、季節でも景色でもない。
その人自身だ。

だから彼の写真には、四季折々の風景よりも先に、その人の存在が浮かび上がってくる。

写真は、言葉を超える

撮影について話している中で、あいとくんはこんな言葉を口にした。

「写真は言葉を超えるものだと思っています」

うまく説明できない感情。
言葉にするとこぼれ落ちてしまう想い。

写真だからこそ伝えられるものがある。

「作品を通してこの想いを届けたいんです」

その言葉を聞いたとき、私が最初に感じた写真の温度の理由が少しわかった気がした。

写真が“作品”になった日

変化のきっかけになったのが、昨年訪れた某写真展。
そこで彼は初めて、「写真が作品になる」という体験をしたという。
ただ綺麗なだけの写真ではなく、〝伝えたい想い“を形にするための表現。

一枚で完結するのではなく、写真を組み合わせることで物語を紡いでいく。

現在の作風は、その経験を経て少しずつ生まれていった。

そして、その経験を経て辿り着いたのが、
「日常は、映画のワンシーンのように」
という言葉だった。

何気ない瞬間も、誰かにとってはかけがえのない物語になる。

その想いは、現在の作品にも色濃く表れている。

組写真は、手紙を書くように

aitoくんの作品には、組写真が多い。
それは単に複数枚並べているわけではない。
一枚では伝えきれない想いがあるからだ。

写真を並べることで感情が流れ、物語が生まれる。

まるで手紙を書くように。
一枚目で語り始め、
二枚目で寄り添い、
最後の一枚で想いを届ける。

組写真には、そんな彼なりの言葉が込められていた。

「メロい女」に写したかったもの

特に印象に残っている作品について尋ねると、『メロい女』をテーマにした作品撮りの話をしてくれた。

テーマは、メロい女=魅力的な女性

撮影したモデルさんにはタトゥーが入っていた。
多くの人は、タトゥーそのものに目を向けるかもしれない。

けれど、あいとくんが気になったのは、
「なぜ、その言葉を身体に刻んだんだろう」

撮影当日、彼はモデルさんの話をじっくり聞いた。
好きな音楽。
大切にしている言葉。
人生の中で支えになってきたもの。

その中で出てきたのが、『Fix you』という楽曲だった。
彼は、その曲や言葉に込められた想いごと写真にしたいと思ったという。

ただ人物を撮るのではない。
その人が大切にしてきたものまで写したい。

そんな姿勢が、作品の根っこにあった。

インタビューを終えて

改めて、あいとくんの作品を見返してみる。
そこに写っているのは、ただのポートレートではない。

その人が大切にしてきたもの。
誰かを想う気持ち。
忘れたくない記憶。
言葉にならなかった感情。
だから彼の作品は、ただ「きれい」で終わらない。

写真を見ているうちに、いつの間にか、その人自身をもっと知りたくなる。
その人だけが持つ物語なのだ。

そして、その物語に寄り添おうとする優しさこそが、あいとくんの届ける“想い”なのかもしれない。

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この記事を書いた人
Kaori Mitani
iedemo graphy Founder

高校卒業後、独学でグラフィックデザインを学び、デザイン制作を中心とした個人事業としてゼロから起業。その傍ら、8歳の頃から親しんできた写真の世界に改めて魅了され、本格的に向き合うようになる。現在は「想いを写す」フィルム写真家として活動中。